こんにちはstelliterです。
今日はラケットメーカーに対する印象
「DUNLOP(SRIXON)編」
を書かせていただきたいと思います。
一応今回のDUNLOP編で区切りとします。
あとほかのメーカーに関してはよく知らないものですから。
それではいってみましょう。(SRIXON併記はここまでにして、のちはDUNLOPで統合させていただきます)
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目次
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<DUNLOPというメーカー>
1909年DUNLOP日本工場として設立の住友ゴム工業。しばらくはテニス産業との関わりは、主にそのラバー生成技術を活かしたテニスボールの製造を中心としていたようです。
ラケット製造に関してはどうやらだいぶ後になって1974年のMAXPLY(ウッドラケットですね)からスタートし現在に至るようです。
正直DUNLOPと住友ゴム工業との関わりは何がなんやら複雑すぎて、わたしには少し難しいので大いに端折って書かせていただくと、2008年ごろまでDUNLOPとして国内と海外両方に向けたそれぞれの販売ラインを並行。
そしてその後SRIXONの名称でラケット販売を開始。海外展開も広げていき、のち2018年にふたたびDUNLOP名称に戻した形でラケット販売という経緯です。
ホントにだいぶ端折りましたけど。
YONEXの次に(大きく離されていますが)日本のテニスラケット業界を支える一大スポーツメーカーです。
<シェアはどんな感じ?>
(ATP)
昨年のDUNLOP使用選手、ATPにおいては1名ですね。
まあアンダーソンだけってことでしょう(笑)
2015年過ぎあたりまでは2~4名ほど契約選手がいたようですが、思い浮かびません。それくらい契約選手が少ないし、アンダーソン選手のイメージ強いですね。
2000年代は結構いたんです。 ハース、ロブレド、ベルディヒ、ブレーク、アルマグロ、ちょっとだけベルダスコ、ダヴィデンコとかですね。国内選手だと何といっても天才、鈴木貴男選手でしょう。
でも海外シェアはとにかく少ないですね。一時期は契約に躍起になっていた時期もあるのでしょうが、SRIXON時代にはその初期の販売網を国内に限定していたものですから、まったく使用している選手を見なかったです。
2014年あたりにようやくアンダーソンをHEADから引っ張ってきましたが、それがなければシェア0になるところでしたからね。
(WTA)
意外や意外、ここ5年ほどで2~5名ほど契約プロがいました。
ワトソン選手とワン選手ですね。
あとは誰がいたんだろうと思っていたら、そういえば土居選手と奈良選手がWTAにはランクインしていたわけで、上記人数の半分は日本人選手だったわけです。
しかし海外では一時期本当に見かけなくなりました、 DUNLOP使用のWTA選手は。
国内ではSRIXONの選手への用具提供が積極的ですから契約選手も多いんですけどね。
<ラケット評価>
あらかじめ:PRINCEの回と同じくDUNLOPに関しても、私自身2000年代中期以降からの知識となります。ご了承いただけると幸いです。
さて各カテゴリーの説明に入ります。
(ツアー系)
海外向け
現在はCXシリーズでそれぞれを2.0系と4.0系に統一しています。
2.0系は伝統の200Gの後継で、最近ではM-FIL、AEROGEL、バイオミメティック、ごく短期間、iDAPTというキワモノなセパレートラケットも海外専門で発売。
そしてSRIXONに統合し2.0シリーズときて、いまのDUNLOP CX200に受け継がれています(4.0も同じ流れです。ここからは2.0を前提に話を進めます)。
DUNLOPはごくたまに単発もの(NEOMAXなど)を発売することもありましたが、基本的に浮気した系統を発売することなど稀で、薄ラケツアー系はずっとこの流れを伝統としています。
ラケットの特性としても新素材や製法など、徐々に改良は加えられつつも大きく変わることなく
- コントロール系
- 飛びは控えめ(各メーカー中、一番控えめかも)
- 独特の柔らかい打感(ここも各メーカーで一番の特徴でしょう)
の3本柱路線で継続展開しています。
国内向け
RIMシリーズが1994年から始まって数シリーズを発売。2000年代に入っても受け継がれダイアクラスターシリーズでいったん終了し、SRIXONに名称変更した後も同じく2.0や4.0など数字がそのままラケット名になるという変わった商品でした。
「RIM製法」というDUNLOP独自のラケット製法でカーボン繊維にナイロンを染み込ませた新技術を各シリーズに展開しました。
海外向けの200Gシリーズは、まだ少しは他社薄ラケツアー系に似たところがありましたが、このSRIXONに統一される前までの国内向けラケットときたら、打った瞬間に
「これぞDUNLOP!!」
といわせる本当に包み込むような柔らかさのラケットイメージを確立させました。
この柔らかさはYONEXとはまた違う、フェイス面全体がボールをグシャッと包み込む(YONEXはシャフト部からくるしなりも含めたボワーンとくる柔らかさ)柔らかさです。
正直ストリングに何を張ってもこの柔らかさは消えないくらいでポリとの相性もよく、日本人には大いに受け入れられました。国内のプロ使用率も高かったです。
でも仮にこれを海外展開しても受け入れられなかったでしょうね、まあDUNLOPも最初からそのつもりもなかったようで、200Gシリーズと見事にすみわけしていました。ただこれも海外DUNLOPと国内住友ゴムとの販売網の関係もあったかもしれませんね。(そのあたりがまた複雑な気がします)
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その後RIMシリーズは販売終了し2009年にSRIXONに統合。
2018年までの計10年でSRIXON名称のラケット販売は、一部(8.0以降のデカラケは現在も継続販売中)を除いて再びDUNLOPに戻され、その幕を閉じることとなりました。
2009年に発売された最初のSRIXON2.0は、それまでのRIM2.0系の柔らかさを大いに引き継いでいましたが、そののち海外販売を見据えたあたりから、のちのシリーズは徐々にRIM製法のような極端に柔らかいラケットはDUNLOPから姿を消し、海外製品向けのテイストになっていきました(いまのCX200シリーズでも十分他社より柔らかいですが)。
(黄金スペック系)
知識不足ですが、DUNLOPはおそらく、2007年のAEROGEL500シリーズから黄金スペックが発売されたのではないでしょうか。
AEROGELは当時他社もいろいろな名称でこぞって採用し始めたナノテク素材の一つで、ラケット素材においてその剛性力UPに非常に効果のあるテクノロジーでした。
AEROGEL発売からDUNLOPも徐々にラケットが硬くなっていきました。BABOLATやWILSONに比較するとDUNLOPテイストの柔らかさは十分ありましたが、まだ当時は各社、ラケットの剛性向上に努めていた感があり、DUNLOPもその傾向をなぞっていった経緯がありました。
DUNLOPの黄金スペックもその後バイオミメティックを最後にSRIXON 3.0シリーズに統合され再びDUNLOP SXシリーズとその系譜をたどっています。
AEROGELの方向性から、スロート部をV字形状にしてしなりを出したり、DUNLOPらしい打感の柔らかさを黄金スペックにも反映させようといろいろと改良を重ねたようです。
YONEXのEZONEシリーズのように、やはり本家BABOLATのピュアドライブ・アエロとは何かしら差別化を図り、販売シェアの拡大を狙いました。
(パワー系)
以前もAEROGEL 700やRIM6.0 以上のデカラケ販売を行っていましたが、今もSRIXON 8.0以上のスペックで継続販売しています。他社と比較して種類はそれほど多くないのですが、需要が結構あることから(後述します)、そのDUNLOPの持つ打感の柔らかさを出す技術をパワー系ラケットにもうまく展開できているのではないでしょうか。
<市場でのライバル>
(各カテゴリー)
最新ランキング:
楽天ランキングではSRIXON CS10.0が16位にランク(これは大いに検討していると思います)、黄金スペックでは18位にSX300LS、ツアー系では33位にCX200LSがランクしています。
ツアー系になればなるほど厳しい販売状況のようです。
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やはり同じ国内メーカーのYONEXをライバルに据えているのかと思いますが、まったく及んでいないと思います。
YONEXは国内ではWILSONには及ばないまでも、BABOLATやHEADを向こうに回して互角に戦っている世界の4大メーカー。ATP・WTAトップ選手に契約プロも多く、各カテゴリーにおいて全く相手になりませんね。
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黄金スペックにおいてはやる気がなかったということはないと思うのですが、当初は他社メーカーがBABOLATを追いかけていったのを、わが社もなんとなく足並みをそろえて発売しました、、とでもいうような消極ぶりでした。
DUNLOP独自の技術は一応黄金スペックに採用して発売していったのですが、セールス的には残念な結果であったと記憶しています。
その後SRIXONの国内展開においてはなかなかいいものを作り始めたな、と思いました。AEROGEL、バイオミメティックまでにはない独特の柔らかさを黄金スペックにおいて実現させられたということが評価され、国内販売実績もまあまあ売れています。
まあEZONEとは較べちゃいけませんけどね(笑)
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パワー系ラケット市場においてはなかなか検討しており、もしデカラケ部門ランク限定ならば、海外メーカーラケット込みでも国内シェアは一番なのではないでしょうか。
コートで見かける年配の方のラケットも、こと最新モデルシェアとして考えれば、一番SRIXONのラケットをよく見かけます。
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DUNLOPは歴史あるブランドで、いつの時代もいい商品を作っているのですが、販促活動がやや「ヘタクソ(ごめんなさい)」な印象があり、常にそれが販売実績に現れているようです。
YONEXにあるような、いい意味での「がめつさ」がなく、地味~に販促活動しているように見えてなりません。
ラケットデザインも安定志向で突拍子あるものは少なく、どちらかというと販促活動同様地味目ですね。かっこ悪いということはないですよ、あくまで渋めです。
ですので特にDUNLOPのツアー系を持っているプレーヤーは、
「お、強そうだなこの人」
と思ってもらえるのはメリットですね(笑)
国内においてそれまでの長い販売期間と確かな品質・知名度から、2000年代までは学生や選手層を中心としてツアー系のラケットをよく見かけました。
しかしながら、すでに王者WILSONや新興勢力の雄BABOLATが競技者層をガッツリ取り込んでいたので、徐々にDUNLOPユーザーを見かける機会は減っていきました。
むしろ圧倒的にYONEXのVCOREユーザーのほうが多く見かけますから。
他社の追随を許さないRIM独特の柔らかいラケットづくりに根強いファンが一定して存在し、そこから浮気しないでいることで、ある程度の販売数を確保しているなというところです。
ある意味”通”なメーカーと捉えられているかもしれませんね。逆に言えばマイナーととられていますと悲しいです(笑)
<個人的印象>
伝統的なラケットづくりに重きをおいている日本を代表するメーカー。
こう書くととてもいい印象ですね。
基本設計と路線を大きく外さないということなのですが、しかし裏を返せばラケットづくりにおいてあまり
「挑戦的でない、保守的である」
とも表現できます(PRINCEあたりとは対極ですね)。
タイヤメーカーとしてはDUNLOP SPORTS(テニスやゴルフ)とは比べるべくもない世界的評価を受けています。
そのラバー開発技術を存分にラケット部門に活かし、地道に改良を続けてきていますので、ラケット性能そのものはとても高いレベルにあると思います。
しかし市場の部分でも触れましたが、そのラケット製造における技術をマーケティングやテニス界に向けての発信力にやや欠けているかのように感じます。
それゆえ、80年代のマッケンローおよびグラフとまでは言いませんが、90年代以降名だたる名選手との契約を勝ち取った印象がなく(先に挙げた選手たちももちろんスゴイですが)、すこし残念です。
<BRIDGESTONE以下との争いは>
本来、YONEXを相手にもっと張り合ってもらいたいところですが、現状は難しいでしょう。
むしろそれに甘んじているような感さえあり、国内メーカー第二位の販売をキープできていればいいか、と思っているような印象です。
確かにすぐにBRIDGESTONEやMIZUNOに販売実績で上をいかれることはないと思いますが、わたしも今は3.0シリーズを気に入って使わせてもらっていますし、もう少し頑張ってくれという感想です。
特にタイヤメーカーとしては世界を舞台にライバル関係であるBRIDGESTONEに対し、大きく負け越していますからさすがにラケット販売では負けるな、と言いたいですね。
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<DUNLOPまとめ>
ストロングポイント
- 伝統がありツアー系は特に確かな品質を維持
- 新シリーズがでてもキープコンセプトであるためすんなりラケット変更できる
- 安定志向のラケットが多くハズレが少ない
- 持っているとなんとなく上手そうに見える
- YONEXよりも”通”な印象のメーカー
マイナスポイント
- 使用している有名選手が少ない
- 目新しさは皆無
- 販促活動も地味
- デザインも地味目
- 逆にマイナーな印象すら持たれている。
総合的な
個人的おすすめ度:★★★✬☆(星3.5です)
性能は確か。しかしこだわりのない人は、同じ真面目系国内メーカーのYONEXに流れて行ってしまうところを、なんとか踏ん張ってユーザーを増やしていってもらいたいですね。
なにより私も一応DUNLOPユーザーですし、応援しています。