こんにちはstelliterです。
後編である今回は、シングルスプレーヤーがダブルスにおいてに馴染めない部分の心理編を書かせていただきます。
これは後述しますが、テニスにおいてみなさんが「何を求めて取り組んでいるか」によっていろいろ視点が変わると思います。
それではいってみましょう
❝重さと充実感❞
技術的に未熟な部分があったり、ゲーム展開でどうもダブルスが苦手という記事を前回までに書かせていただきました。
そういうこと以外でもダブルスに入り込んでいけない方の特徴は「気持ちの部分での重さと充実感」の違いです。
ではシングルスとダブルスでいったい何が違うというのでしょうか。
何が「気持ちの部分での重さと充実感」の違いを生んでいるのでしょうか。
❝責任の分散❞
これが一番お伝えしたい部分です。
ダブルスとシングルスにおいて決定的に違うのは
「プレーに対する意識の違い」です。
ちょっと大まかな書き方ですのでもう少し細かく書くと
「ダブルスは1ポイントに対する意識が薄くなりやすい」
これですね。
ダブルスは
- どんなポイントも全ポイントの4分の1、自分のミスしたポイントも4分の1(4人でプレーしているから)、心に残る重さが少ない
- 自分がミスしてもパートナーの調子次第では勝てたりする
- パートナーがミスしても自分の調子次第では挽回できる(これはプラスの部分です)
この思考は団体競技に近い感覚です(その競技によってそれぞれ厳密には少し違うんですが)。
さすがにダフォ4連発とかやっちゃって負け、、とかは堪えますが、それでもそれぞれの要素が分散されるんです。
こういうところから、ダブルス時はみな思い切って大胆にプレーできるんです。この推測は皆さんも心当たりがあるはずです。ちなみにテニス以外でもそうなんですよ。
わかりやすい例として、またまた卓球を取り上げてみます。
❝卓球でも同じ❞
以前に書かせていただいたかどうか。
私は最近まで濃密度はテニスに較べて低いものの4、5年ほど卓球も並行してやってました(今はやめました。理由はまた後日)。
卓球でも同じですがシングルスとダブルスはやはり戦い方が変わります。
というか、プレー中の気持ちが特に変わります。
テニスと違って1ポイントごとに打つ選手が代わらなくてはいけないのでショットそのものはそんなに変わらないんですが(前衛とかいませんしww)、ラリー展開中はもちろんのこと、特にサーブレシーブの時なんかによく現れます。
いわゆる2球目攻撃ってやつですね。レシーブからいきなりチキータ(卓球の特殊なバックハンドショットです)やフリックを狙ってくるんです。
卓球はポイントのカウント方法がテニスと違って、
「1ゲーム11点先取」と最初の区切りがやや長く、そういうのも関係してなのか、特に序盤は仮にミスってオーバーしてもネットしても、やはり大胆になります。
これがシングルスになるといきなり慎重になります。よっぽどの浮いたチャンスボールやショボいサーブが来ない限り、ツッツキ(フォアハンドスライスみたいなもんです)で返すことが多いです。
要するに「置きに」いきやすくなります。
ポイントのカウント方法は同じなんですけどね。
やっぱりミスしたくないんですよ。
ではシングルスプレーヤーはなにゆえそれほどミスを大きく捉えてしまうのでしょうか?
❝勝ち負けの重さも分散される❞
でもミスの重大さはシングルスもダブルスも同じだろ??
ダブルスでも自分のミスで負けたりしたらそりゃ凹むよ
と思う方もいらっしゃると思います。
ここは本当に私見が強いとわかっていますが、シングルスプレーヤーの気持ちを代弁してあえて言います。
「シングルスは負けの理由が自分だけ。ダブルスは2分の1になる。心のどこかで言い訳が出来上がっている。」
同時に勝った時もその貢献度の重みも分散される(ような気がします)。なので自分の調子によっては本当に心からその勝利を噛みしめられない。
シングルスの場合、ミスは即自分の失点ですから、そこまで大胆になれないんです。責任の重さが違うというか。
導き出される勝負結果もすべて自責です。
シングルスが好きな方というのは私も含めてこの、
「圧倒的な勝利感と圧倒的な敗北感」
これを求めてテニスに取り組んでいるんだと思います。
ダブルスでこの気持ちをもって取り組んでらっしゃる方がどれくらいいるでしょうか。
「なんの疑念もなき、自分の実力だけで勝利したい」
これです。
私の知っているダブルス専門の方にシングルスをお勧めしても
- 「いやー自分はやりたくないよ」
- 「疲れちゃうし」
- 「シングルスは難しいでしょ?」
と敬遠されます。
私にはダブルスのほうが難しいんですが(笑)
ここって心の部分だと思うんです。
悪く言えば1対1の勝負はできればやりたくないかな~という思いがあるかもしれませんね。はっきり雌雄を決するので。
よく言えば調和的です。
❝上手くなりたいのは皆同じ❞
スキルの部分でああなりたい、こういうショットを練習して打てるようになりたいっていうテニスに対する純粋な向上心はダブルスプレーヤーもシングルスプレーヤーもどちらも変わらないと思います。
学生さん、スクールに通っている人、サークルで頑張っている人、オフに参加している人みな一様にそれぞれのフェーズで日々精進されていることと思います。
しかしこと勝敗という観点で見るとその思い入れが相対的に見てシングルスプレーヤーのほうがより強いとわたしは思います。
そういう結果がプレースタイルに反映されてくるだけなんです。
❝では私見的ダブルスのいいところは??❞
もちろん沢山ありますよ。
なんか悪いことばっかり書いてきたようなんですが、それは誤解です。
技術的なことで言えばやっぱりシングルスプレーヤーに足りないスキルをダブルスプレーヤーはたくさん持っています。
特に長いキャリアをお持ちのダブルスプレーヤーのゲームを見ると、惚れ惚れするほどの展開の速さに目を奪われるくらいです。
ゲームプランの組み立て・作戦成功時の達成感・失敗したあとのリプランニングなど、「練ってるな~」という奥の深さを感じます。
ただそういう部分ではなくそして一番素晴らしいのは
「テニスをすごく楽しんでいる!」
こういうところです。
一部のごく上級な方や大会の上位組み合わせとかは確かにキリキリした空気も漂っていたりしますが、それ以外は皆さん本当に楽しそうにプレーしています。
ペア間はもちろん、対戦相手のナイスプレーを素直に称えあう姿勢、ミスショットをどんまいと言い合えるコミュニケーションの保ち方。
シングルスの試合を行っている空気って、オフなどでは特にそうですがやっぱりどこかギラギラしてるんですよ。ほんとに勝ちを意識しています。
だからといってそれはそれですごく楽しんでいるんですけどね。
その楽しみ方の色が少し違うというだけです。
❝シングルスプレーヤーのダブルスへの取り組み❞
シングルスでご一緒する方たちもこうおっしゃる方が多いのですが、私もやっぱり
「分けて考えるべき」
だと思います。本当の上級者は
「多少の違いはあってもどっちも同じテニス。変わらないよ」
とサラリとお答えになります。事実本当にどちらもお上手なんです。
ダブルスプレーヤーの方はわかりませんが、シングルスプレーヤーはゲーム特性とそのおかれた心理状況の違いから、やはりまるで
「別の競技」
という認識をお持ちです。
ただ使っている道具も、コートも、そしてなにより一緒にプレーする人も同じテニスを愛する仲間であることにかわりありません。同じ時間を共有するわけですから。
別物として認識していたとしても、それぞれ「その瞬間」を楽しむことが一番だと思うのでそれでいいんですよ。
基本的には余暇で楽しんでいるんです、シングルスもダブルスも。
テニスですからね