こんにちはstelliterです。
今回は前回・前々回の「年代物ラケット」シリーズに引き続き
「昔のプレーヤーは凄かった編」について考えていきたいと思います。
私の知っている範囲ですので、「深さが足りん!!」というご意見ありましてもまったく反論できません(笑)
それではいってみましょう
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目次
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<進化し始めたラケットを携えて>
(今回も年代物ラケットシリーズは90年代前後として考えています)
(本格的なカーボン素材への転換期)
現代ラケットの基本となるカーボン製ラケットはどうやら1970年代中盤くらいから本格的に製造が進んでいったようです。
PRINCEのデカラケやWILSONの厚ラケに代表される、いわゆる「飛ぶラケット」もこの70年代から80年代にかけて開発されたようで、その後各メーカーとも90年代にかかるまでに発売されるほぼすべてのラケットにカーボン素材を採用することとなりました。
(パワーのWILSON)
のちの90年代に「ハイパーカーボン」を開発し、現代ラケットの根幹となっている高剛性カーボンを世に送り出したWILSON。
「パワーのWILSON」の看板はこのあたりからはじまり、いまもってその評価を欲しいままにしています(個人的意見です🙇♂️)
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しかしそのWILSONや先のPRINCEといった飛び系ラケットをまったく使用せず、年代物ラケットの中でもかなりのローパワーラケットを携えて、世界をパワーテニスに一変させた二人の怪物プレーヤーが登場します。
<スゴイと思った二人>
その90年代突入までの間に、年代物ラケット世代としてわたしがスゴイと思った二人は
イワン・レンドル(Ivan Lendl)
ボリス・ベッカー(Boris Becker)
想像通りでしたかね(笑)
<使用していたラケット>
まずは二人の当時のメインラケットを見てみましょう。
微妙にカラーリングなど違いはありそうですが85~89年までの間に二人はそれぞれこのラケットを使用していたはずです。
(レンドルといえばこのラケット)
(ADIDAS PRO-T)
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(ベッカーといえばこのラケット)
(PUMA BORIS BECKER WINNER)
どうです?
笑ってしまうくらいに小さくて飛ばなさそう。
特にレンドルのラケットは80インチちょっとくらいしかないのでは。
ベッカーのプーマで90インチいくかいかないかくらい。
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ちなみにチャンは110インチのグラファイトを使用していました。
明らかに対格差を埋めるべくの110インチ、彼小柄ですしね(笑)
<年代物ラケットであれだけのパワー💦>
二人の対決はとにかく当時のテニス界に「パワーテニス」という概念を植え付けた決定的なものでした。
当時のトップ選手と言えば他にエドバーグ、ビランデル、踏ん張ってマッケンローあたりでしょうか(過去記事のファミリーテニスの面々がそれですね)
彼らももちろんすごいのですが、なにより「パワーテニス」といえばこの二人を差し置いて考えられません。
まさに別格の対決でした。
今もってその当時の映像を見返してみても現代とそん色は、、、
まあ少しはありますけど(笑)
それでも上記使用ラケットであれほどのスピード&パワーを画面上からでも感じさせられるのは「レンドル/ベッカー対決」以外に見当たりませんでした。
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二人が最強であったかというと必ず意見の分かれるところです。
しかし私個人としては仮に1990年までと考えた場合、
「間違いなく最強の二人」
であったと断言したいです。
詳しくは凄く有名で私も大好きなこちらのサイトをご覧ください。
<とびぬけた身体能力と技術>
二人は当時の選手のなかでも体も大きかったですし、特に身体能力的に図抜けた存在でした。
力を必要とされる全てのショットにおいて、他選手はまったく比較になりませんでした。
そしてその飛ばないラケットでボールをぶっ叩く際にとても大きなスイングワーク。しかもあれだけぶっ叩けるのは裏打ちされた技術があるとしか説明できません。
今の感覚で言うと、あんなに大きなスイングだとちょっと振り遅れしそうなんですけど、まあ相手のボールも今よりも少しは遅かったでしょうしね。
また、叩くだけではなく、サーブ&ボレーもとても巧みで、特にボレースキルはストローカー全盛の現代の選手よりも優れているのではないかと思うほどです。
<もし二人がいなかったら>
直接二人のプレーに影響を受けたであろう、のちに登場するサンプラス、アガシ、クーリエ、シュティッヒあたりの台頭がより早まったのではないでしょうか。
パワーテニスのイメージに直結する選手が当時ほかにいませんでしたから。
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しかもパワーだけでなく世界トップクラスの技術も兼ね備えているといったらもうレンドル、ベッカー二人だけの領域でした。
それだけのちの選手たちにとっていわゆる、、
「目の上のたんこぶ状態」
だったでしょうね(笑)
<ベッカーの功罪「ブンブンサーブ」>
ちょっとだけ残念なところ🤔
「ブンブンサーブ」と呼ばれるベッカーのサーブは、当時の感覚で言えばまさに人知を超えたものでした。
ダブルファースト全開のベッカーは、ほとんどサーブのみで優勝してしまった印象すらあったような(そんなことはないと思いますけど)85年のウィンブルドン初優勝、86年の連覇はテニス界において衝撃的なニュースとなりました。
そしてそのインパクトはのちの90年代中期までに迎えるビッグサーバーによるエース乱発時代にとてつもない影響を与え、ある意味では少しテニスそのものをつまらなくさせたという見方すらされています。
90年代中期といえば「サーブ打ったらもうおしまい」的な試合が続出していたようです。
ちょうど私がテニスをあまり見なかった時代なのですが、そういう傾向があまりにも顕著だったようですね。
でなければ個人的印象としてウィンブルドンで、、
「クライチェクが優勝するか??」
と思いますもん(笑)
まあこれはベッカーだけのせいではないですね。サンプラスの存在もこれに大きく加担してしまったのではないでしょうか。
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しかしベッカーは、そのエース乱発世代のサーブしか取り柄のないプレーヤーたち(名前は伏せます!)と違い、レンドルとも互角に打ち合えるストロークやボレー技術も素晴らしかったですし、評価としてはレンドル以上のオールラウンドプレーヤーでした。
<もし二人が現代ラケットを使っていたら??>
これは想像するだけ無駄でしょうね。
今もってスゴイと思わせる彼らのテクニックやパワーテニスは、あくまで当時のラケットで培ってきたものが土台となっているからこそです。
きっとタイムマシンがあって急に当時の彼らに「はいよ、これ使ってみな」と手渡されても「???なにこれ??」
となるでしょうし、きっと使いこなせないでしょう。
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でももっと幼いころから使用して、かつ周りも同じ道具で練習している環境下だったなら。
要するに今の世界にレンドル少年、ベッカー少年がいたなら。
もしかしたら、、と期待してしまいますね(笑)
<ちなみにどっちが強かった??>
単純な対戦成績でいっても互角なH2Hだったようです(上記の参考サイトを参照)。
私の印象ではその抜群の安定感から、ややレンドル有利と思っています。
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しかし参考サイトにもあるように、ここぞという大舞台ではベッカーが勝利していることが多いように一概に優劣はつけられません。
ベッカーはその勝ちっぷりやプレースタイルが圧倒的だったので、いまだ「ベッカーこそ史上最強だったのでは」
という声すら上がることもあったそうで。
<二人だけの世界を堪能しましょう>
当時の他の選手の試合と較べるととにかくすごい見ごたえです。
長いラリーはそれほどないんですが、お互いの「ドカーン!」と打ち合う3球目までの展開が本当に爽快で、しかもそれが大味な凡戦では決してありません。
パワー一辺倒でもないパッシングやストローク戦の組み立て(主にレンドル)など技術も伝わってくる極上の組み合わせ。
これをあの年代物ラケットで繰り広げているのですから。
あらためて90、、いや80年代および年代物ラケットが生んだ怪物プレーヤー二人。
ぜひ皆さんも一度チェックしてみてください。