今だ進化を続けるナダルのすごさ:2020年全仏決勝を観て

こんにちはstelliterです。

昨日のナダルVSジョコビッチ戦、、ナダル強かったですね。

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スコア的に見ればストレート決着ですし、特に第一第二セットはナダル圧巻の出来。圧勝に映りました。

しかし各プレーを観るにいかがだったでしょうか。

ジョコビッチは敗戦インタビューにおいて『第一セットと第二セット、もう少しいいプレーができたかもしれないけど』と語りました。

 

前半の圧倒的なスコア差、そしてジョコ本人のコメントから、『ジョコの調子が良くなかったからこれだけ離されたの??』と思われるかもしれません。

しかし試合を観ていた人は納得されたはず。

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ジョコビッチの攻撃力はすさまじく、軌道が低くきつい角度をつけて広角に攻め続け、何度もナダルはギリギリ追いつくくらいの『しのぎ』を強いられました。

それでもナダルは単調な守備的プレーに終わらず、時に高い軌道で時間を稼ぎ、時に負けじと鋭く深いボールで切り返す。

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まさに2011~2013年あたりまで(その後ナダルは絶不調期を迎えました)繰り広げられてきた二人の対決をこの日の激しいラリーの応酬が思い出させてくれ、私は画面にくぎ付けとなりました。

『攻めるジョコビッチ、守るナダル』

矛と盾の典型的構図が非常に明確な試合でした。

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準決勝までのナダル・ジョコビッチ以外の選手の戦いを観ていく中で、

『いや~若手の試合もものすごいハイレベルだなぁ』

と感じずにはいられない心境でしたが、この決勝を観て改めて

やっぱこの二人おかしいわ💦

と思わざるを得ない人外プレーの連続でした。

 

前半は難攻不落のナダルに痺れをきらしたジョコビッチがついミスしてしまうという場面が非常に多かった。

その後第三セットからジョコもスコア的に先行できたわけではありませんが本来の気合(プレーの質はそこまでも全然よかった)を取り戻し、

お、これはもしかしたら

と思わせる雰囲気が漂い始めました。

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無敵モードのジョコが降臨してきたかに思えました。

かたやナダルの表情は冷静を装っているようにみえましたが

ちょっとヤバいかな・・

という風もうかがえました。

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しかし違いましたね、、本当に『冷静』だったんです。

安定かつめっちゃハイレベルなプレーをジョコに対して1試合貫き通せたのは本当に驚きです。

 

この試合ナダルは評価の高いネットプレーでそれほど冴えを見せませんでした。

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得意のスマッシュも1発で決められない展開が多く、ジョコにしのがれて結局失点という場面が非常に多かったように思います。

むしろネットプレーによるポイントはジョコのほうが多かったのではないでしょうか。

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最近のナダル(といってももう数年以上前から)と言えばサーブからのネットプレー、追い込んでからのネットプレーという、ショートポイントで終わらせるゲーム展開に重きを置き始めたと考えられていました。

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実際2017年以降の復活劇はこのプレースタイルの強化も大きく貢献しているといえます。

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昨今の若手プレーヤーやライバルも今やストローク戦においてまったく油断ならず、ナダル自身も危機感を感じていたはず。

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自身のストローク力も活かしつつ、勝ちやすい状況を作り出すにはショートポイントの徹底は欠かすことができないと自覚していたことでしょう。

 

しかしこの日は近代テニス最強のストロークマシン・ジョコビッチを相手に真っ向からストローク戦で打ち破りました。

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緩急を織り交ぜつつ、打って出るところは打って出る。

調子のいいジョコビッチ相手に結局ウィナー31、アンフォースドエラー14は異常な数字ですよ(ジョコはウィナー38、アンフォースドエラー52)。

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前哨戦のローマにてシュワルツマンに準々決勝にて破れた際、

『修正する、そのやり方もわかっている』

と本人は口にしていましたが、

  • 長期休養明けであること
  • 今年のこの特別な環境下
  • なによりさすがにナダルも年齢が進んできた

これらを考慮すると

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ん~、そうは言うけどどこまで戻せるかな、、、全仏まで全然時間ないよ?

とファンも関係者もいささか不安だったのではないでしょうか。

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しかし今大会の準決勝にてそのシュワルツマンにきっちりストレートで借りを返し、そして決勝でも世界最強の男ジョコビッチをこれまたストレートであっさり撃破。

結局終わってみれば失セットなしの完全優勝です(全仏では2回目?3回目?)。

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ナダル本人はまだまだ自分のテニスは改善する余地がある、上手くなれると信じている。

さすがにフィジカルは若い頃のようにいかなくなることも自覚しているでしょうが、それでもトータル的なテニススキルはまだまだ伸ばせると日々精進している。

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先のショートポイントにおける試合展開の向上などはこれまでも随所に見せつけてきましたが、まさかこれまで十分に培ってきた自身の主要武器であるストローク戦においてもまだまだ衰えることなく、むしろ進化している。

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また驚かされるのはスキルのみならず、ジョコビッチをはじめとする最強レベルの猛者ども相手に2時間3時間の試合を通じてメンタルとモチベーションを維持するセルフコントロール能力。

なんでこんなことができるんでしょうね、呆れてモノが言えませんよ。

常人には理解し得ない、深くテニスを愛し続けられる能力ともいえるのでしょうか。

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13回パリに愛された男ナダル。

次の14回目を目指し来年もまた戻ってくることでしょう。