こんにちはstelliterです。
この記事をお読みいただく方たちがテニスファンであると仮定(まあ興味はあると思うんですが)して、いったいいつ頃からのテニスファンでしょうか。
今日は誰しも一度ならず何度でも想像してしまう
「昔の選手は今の選手に勝てるのか?」
これに関連する内容について少し考えたいと思います。
各データは調べた限りのものです。信ぴょう性についてはそこそこにご容赦くださいね(笑)
それではいってみましょう。
❝2004~2006年、フェデラーの異常さ❞
まずはこの2005年全米大会におけるフェデラー・ナルバンディアン戦を少しご覧ください。
いかがでしょう。
フェデラーが全盛時代であったとされる2004~2006年のど真ん中における試合です。
もちろんこれだけにとどまらないのですが、この試合を見たとき私は思わず、、
このフェデラーにいまの選手は勝てるのだろうか・・
この思いが頭をかすめました。
ハイライト映像ですので、多少いいトコどりな部分もありますが(ちなみにフルマッチバージョンで見ても、まったく色あせないパフォーマンス👍)、それを差し引いても、このフェデラーに今のトップ選手は勝てるのか。
もっというなら2011~2015年のジョコビッチ(彼の最盛期であると言われています)ですら危ういのではと感じずにはいられません。
スピード・コントロール・フィジカル・冷静さとどれをとってもこの時期のフェデラーは尋常ではなかった。
バックハンドが唯一弱点、、なので近年(といってもだいぶ経つけど)はその強化に余念がないと言われていますが、私はこの頃からもフェデラーのバックハンドは歴代片手バックの選手中最強であると信じています。
レンドルやその他を差し置いてもその地位は揺るがないと思っています。
たぶん同じ時期、ナダルのバック攻めに酷い目にあわされなければその評価はもっと確立されていたに違いありません(それだけナダルがしつこかったww)。
❝最強説はその世代での突き抜け方が決める❞
さてこういう話を持ち出すと必ず、、
いやいやだったら84年のマッケンローのほうがすごかっただろう、年間3敗しかしていないんだよ?
ボルグの生涯勝率も考慮しないとな、彼が長く現役を続けていたらどうなっていたことか
だったらレーバーは?年間グランドスラム2回なんて今後誰も出てこないよ
などなど往年のファンはいろいろと想像されるのではないかと思いますが、そこまで行きつくお話をするつもりではありません。
それにこの3選手を引き合いに出すのは流石に無理がありませんかね。
現代においては道具の進化なども考慮せざるを得ませんし、選手のアスリート化によるものも大きく影響しています。
先の3選手ではやはり現代の選手に当時の力量をまともにぶつけても意味がない、太刀打ちできるものではないでしょう。
最強説云々で語るのであれば、私はその選手がその世代を如何に支配していたか。
これでしか語れないと理解しています。
ファイティング原田さんの全盛期は井上尚弥選手に勝てるか?みたいな話は究極的にナンセンスですから。
❝もう一つの比較対象の好材料:サンプラス❞
フェデラーに加えてもう一人ご紹介
ピート・サンプラス
1990~2000年代において最強の名をほしいままにした非常に興味深い存在の選手。
彼がこの時代に築き上げた実績は一つの金字塔であると言えます。
グランドスラム14勝はフェデラーに2009年に記録を塗り替えられるまで最多記録でした。
クレーコートで弱かったことや生涯勝率など、意外に大したことない部分も見受けられるのですが、グランドスラムでの勝率とその勝ったときの勝ちっぷりが凄まじい。
特にウィンブルドンにおいてなど、相手は圧倒されてぐうの音もでないという印象でした。
また、現役最後の試合(2002年全米)を最大のライバルであるアガシと対戦し優勝で締めるという華々しい幕切れを(結果的に)演出するなど、非常に『華のある』選手でしたね。
❝フェデラーに勝ったサンプラス❞
引退して5年が経過した2007年、サンプラスはエキシビジョンでフェデラーと対戦。
サーブアンドボレーが極まりまくり、3セットマッチにおいてフェデラーにストレートで勝利しています(実はその近辺において他でも何試合か対戦しており、それぞれ敗れたとはいえなかなか拮抗していました)。
2007年といえばフェデラーは全豪・全英・全米を制覇し、26歳と油の乗り始めたまだまだバリバリな頃です。
かたやサンプラスは36歳
引退したのち数年後、その年齢でフェデラーにエキシビとはいえ勝ってしまうんですから。
そのサンプラス、かなり後輩(10歳近く)であるフェデラー以外のその主要なライバルとも結構対戦していました。
- ヒューイット戦:4勝5敗
- サフィン戦:3勝4敗
- フェデラー戦:0勝1敗(一度の対戦はご存じ2001年ウィンブルドン)
- ロディック戦:1勝2敗
すべて負け越してはいますが、年齢差を考えれば大善戦。如何にサンプラスも世代間を超えたバケモノであったかを物語っています。
(アガシは??と疑問に思われるかもしれませんが、今回は割愛。しかしアガシもサンプラス同様です。むしろ活躍期間だけでいえばそれ以上でしたから、やはり彼も同じく結構なバケモノでしたね)
❝対戦競技:超えられない壁は10年くらいか・・❞
フェデラー、サンプラスという稀有な存在、そして以前にも記事にさせていただいたレンドル。
彼も長年にわたり活躍した選手。
自身が若い頃プロデビュー(確か1978年)し、その後90年代中期近くまで長く若手の壁となって活躍しました。
www.stelliter.infoそのレンドルもあわせて、それぞれの世代間を考えた際、おおよそテニスは『10年一世代』と言える状況のようです。
要するにその時代の最強選手はどれだけ頑張っても10年後のトップ選手にはおそらく勝てはしないという一つの指標。
(1994年の全豪サンプラス・レンドル戦、時代の終焉を感じさせました)
本来この傾向はもっと短期間、せいぜい『5年一世代』くらいで入れ替わってしかるべきなんでしょうが、上記3名+ナダル、ジョコビッチというBIG3の内残り二人のあまりの盤石ぶりから、なかなか成立には至らず、選手寿命の延びも影響して最近は『10年一世代』という感じになってきました。
長く活躍する選手がトップクラス級で10年に渡り活躍するというなら何名もいますしわかります。しかし10年間ナンバーワンを争うというのが信じられない状況です。
(この二人もBIG3最大の被害者)
ちなみにこのレンドル、サンプラス、フェデラーの年齢差はそれぞれ
- レンドル:1960年生まれの60歳(プロデビュー1978年)
- サンプラス:1971年生まれ49歳(プロデビュー1988年)
- フェデラー:1981年生まれ39歳(プロデビュー1998年)
どうでしょう、ほとんどきれいに10年差。
そして嘘の如くプロデビューも10年違い(笑)
❝計測可能な競技のほうが意外に伸びていない❞
あらゆるスポーツの技術面および選手のフィジカル面は昔に比べて日々進化しているはず。
ということは中でも単純に数値で表れる競技であればせいぜい5年もあればほとんどにおいて記録は塗り替えらているのではとついつい思ってしまいます。
数値でその選手のすごさが表されると言えば何といっても陸上競技でしょう。
競技技術・トレーニング理論・栄養学・メンタルコントロール、そして用具をはじめとする競技環境の向上(シューズ・ウェア、そして高速トラックなども)。
これら現代科学の粋を集め、選手に余すことなく注ぎ込まれているわけです。
そして『時間計測』『距離計測』という世界一公平な2つの審判によってその実力を判断できる。
ですので、競技上の直接対決としてはもちろん一緒に走ったりする目の前のライバルでしょうが、純粋な記録をもってすれば、過去の名選手とも簡単にその優劣を比較することが可能なわけです。
ということは、これほど不平が出にくくイーブンな環境、、そしてわかりやすい目標が目の前にあるわけであって、さぞかし記録もグングン伸びていっているに違いないと思われます。
しかしご存じの方も多いとは思いますが、実はそうでもないんですよね。
下記リンクの現在までの陸上競技世界記録一覧をみていただければわかります。
もちろん比較的頻繁に記録更新しやすい競技もあるようですが、中には30年以上世界記録として君臨している記録があります(特に投てき競技)。
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走る・跳ぶ・投げるの3つが競技の根幹となる陸上競技はとにかく歴史が古く、遠く古代の頃、紀元前数百年前からオリンピックとしても始まっているようです。
つまり競技性において熟成しまくっているわけであり、単純な記録が目まぐるしく縮められることは難しいのでしょう。
陸上競技における記録更新の要素は先にも申し上げた技術や用具の進化ももちろん伴ってのものではありますが、基本的には骨格など含むほとんどその肉体に大きく依存するものです。
(100m走選手も大型化、ボルトやパウエルなど190センチ超え選手も珍しくない)
要するに、人類の進化の歴史に比例している部分も一理あるとも言い換えられます。
そう考えれば最早、たかが10年20年くらいで一気に底上げされるという簡単なものでもないのでしょう。
我々が勝手に想像する記録の進化スピードと、実際の選手の進化スピードに乖離があるのかもしれません。
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余談ですが、もちろんそれら人類生物学(で、あってるのかな)上の理論を無理やり超越しようとする行為(いわゆる『ドーピング』ですね)により作られたとされる『グレーな記録』も中には存在するようです。
それら悪意ある行為が即パフォーマンスに繋がりやすい競技特性であることも忘れてはなりません。
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水泳なんかも、すごいペースでタイムが縮められているかと思ったのですが、意外にそうでもない。
陸上ほどではないにしろ、10年以上塗り替えられていない記録もまだまだ存在しています。
一時期『レーザーレーサー』なる、めちゃくちゃタイムのあがるスイムスーツも話題になりましたが、その後2010年以降は使用制限がかかったようですね。
水泳も陸か水かの違いはあれど、技術と併せてフィジカルにも大いに依存する部分が大きく、やはり陸上のそれに倣っているようです。
❝世代を繋ぐ選手との対戦成績で考えると❞
話しをテニスに戻しまして
- レンドルとサンプラスの対戦成績:レンドルの3勝5敗
- サンプラスとフェデラーの対戦成績:サンプラスの0勝1敗
- フェデラーとナダルの対戦成績:フェデラーの16勝24敗
- フェデラーとジョコビッチの対戦成績:フェデラーの23勝27敗
フェデラーの対ナダル、ジョコビッチに関してはデビュー年もそれほど違わない(せいぜい4、5年違い)のに何故ここで引き合いに出したか。
それはご存じの通り、その後ナダル、ジョコビッチに変わるナンバーワン選手がいまだに表れていないからです。
なので可哀そうなフェデラー、、しぶしぶ比較させてもらうこととなりました(笑)
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このように一世代前のチャンピオンは善戦はするものの、その後の世代のチャンピオンにはやはり負け越しています。
これはこれである意味正しい姿であり、自然でもある。
競技全体が正しく進化・成長していっているという表れでもありますよね。
そもそも10年違いで頻繁に対戦があるということ自体、歳上の選手にしてみれば大変ですからね。
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しかしそれにしてもフェデラーの善戦ぶりは異常ですね。
ちなみにではフェデラーのちょうど10歳ほど下のトップ選手とのH2Hはというと
- ディミトロフ(29歳):フェデラー7勝1敗
- ゴファン(29歳):フェデラー10勝1敗
- ラオニック(29歳):フェデラー11勝3敗
- 錦織(30歳):フェデラー8勝3敗
どうでしょう、見事に料理しきっていますね。
なんとえげつないオッサンですよ。
❝この想像には夢がある❞
テニスだけではなく、球技にはこのような『叶えることのできない仮想対決』という夢があります。
王選手と大谷選手
ペレとメッシ
などなど、
単純な比較ではこのようにあっさりと『10年一世代』とまとめましたが、実際には夢のある世界。
もしかしたらマッケンローの全盛期なら、ナダルにも勝て・・・
なんて考えずにはいられませんね👍