ラケットメーカーに対する印象その④BABOLAT編

こんにちはstelliterです。

 

今日はラケットメーカーに対する印象その④

 

「BABOLAT編」

 

を書かせていただきたいと思います。

 

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それではいってみましょう。

<BABOLATというメーカー>

1875年創業のテニス用品メーカーとしては超老舗なフランスのメーカーです。

BABOLATはYONEX以上にラケットスポーツに特化しています。

 

創業はずいぶんと歴史ある会社ですが、ことラケットに関してはごくごく最近、1994年発売と創業から100年以上経過してようやく製造に取り掛かったということです。

 

ご存じの通り、それまではストリング専門メーカーでした。

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その間に相当なデータ蓄積があったのではないでしょうか。でなければのちのメガトン級のヒット連発につながった説明がつきません。

 

<シェアはどんな感じ?>

 ATP TOP 100 Racket Brand Shares


ATPに関してはHEADと2位争いを繰り広げていますが、ATP・WTA両方とも常にトップ3の常連です。

世界的なラケット販売状況はともかく、国内においてはHEADあたりは置き去りにしている感がありますから、ここまでHEADと競っているとは思いもしませんでした。

 しかしWILSONとは想像していたよりも離されていますね。

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WTAにおいては3年前まで世界ナンバーワンのシェアを誇っていました。なんとWILSONを一位の座から引きずり降ろしていたんですね。これはすごいことです。

 

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しかしその翌年あたりから再びWILSONがトップを奪還、昨年にはついにYONEXにも2位の座を奪われたという形です。

 

ただWILSONに関しては選手の使用率はずっと高い数値を保っていて、BABOLATが少し落ちていったというだけにすぎません。

YONEXにはその間隙を縫われたということであって、また今年あたりは逆転2位、もしくは1位返り咲きだってあり得ると思います。

 

<ラケット評価>

(ツアー系)

 

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フラッグシップモデルを黄金スペックに据えているという、ちょっと珍しいBABOLATですが、薄ラケツアー系ということになると現行はPURESTRIKE VSのみとなっています。

 

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過去の歴代モデルとしては初代PURECONTROLが非常に高い評価を得ていました。

その後もPURESTORMに名称変更し、3代目まで継続販売されていました。

 

トップ選手にも限定的ではありますが使用されていました(ゴンザレスがとにかく有名、女子はストーサー)から、初代PURECONTROLの名を汚すことなく、一定の評価を得ていました。

 

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しかし2013年に復刻した赤いPURECONTROLがあえてカーボン繊維量を減らし、よりフレキシブル(しなる)なラケット設定という触れ込みをアピールしてきたのですが、販売面ではまあ大コケしました(笑)

 

 そこまで薄ラケツアー系を細々と支えてきた先輩たちの功績を一気に無きものにしてしまった責任を現行PURESTRIKE VSは尻ぬぐいをさせられることになったのです。

 

しかしながらこの薄ラケツアー系の重責をPURESTRIKE VSのみで凌ぐことは容易ではないと判断したのか、市場に対し縮小傾向にあるような動きの小ささです。

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 「BABOLAT PURESTRIKE」の画像検索結果

同じくほぼ同時期である2014年に発売された赤いPURESTRIKEもかなり異質な反発系で、扱いが非常に難しいとされていましたが、なぜか市場においてはそこそこに売れていました。

 f:id:stelliter:20200317064453p:plain「BABOLAT PURESTRIKE thiem」の画像検索結果

しかし現行PURESTRIKEは打感の良さも追及してめちゃくちゃステップアップした良質なラケットに仕上がっているようです。

 

ツアー系ラケットとしての評価も高く、PROJECT ONE 7という冠号も得たPURESTRIKEはさらにティエムをメーカーの立場から全面的バックアップをしていく姿勢がみられ、現在の白ラケになってから評価は急上昇です。

 

 

(黄金スペック系)

 

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BABOLATの名を世界に知らしめたモンスターラケット

「PUREDRIVE」

が世に生まれたのが1994年。

「近代兵器の申し子」たるPUREDRIVEはウーファーやコアテックスシステムに代表される数々の新兵器を搭載し、

「これまでこんなラケットは存在したことがなかった」

と世界中を驚かせたのでした。

 

デザインもこれまでになかったほど斬新な色使いで若々しく、それでいて年配の方が使用していてもそれが不自然に見えないところが本当に素晴らしいの一言です。

 

それまでこういった厚ラケをトッププロ、しかもATPの男子選手が使うなんて、、と思っていたところ、この秘密兵器をもった選手が次々と大仕事をやってのけていったのです。

 

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日本では1999年から本格的に販売されていき、瞬く間に日本中のテニスコートを埋め尽くしていきました。

以降約3年周期で新モデルを発売していきましたが、その都度販売に苦戦することなく、常に黄金スペック最高評価を得続ています。

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2003年にはAEROPRO DRIVE(後継モデルも含め面倒なので、以降はAEROで呼び名を統一します)という自社ブランド内に新たに強力なライバルを設け、互いにいい意味で競合し合い、両ラケットの良さを存分に世界に発信していきました。

 

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そして、それぞれの形状が生み出す特性の違い(パワーのPUREDRIVE、スピンのAERO)により、見事にユーザーを住み分けして歴史上類を見ない独占カテゴリーを築き上げていきました。

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AEROのすごいところは、WTA選手の使用率がとても高いところです。

「女子選手こそPUREDRIVEでしょ?」と踏んでいたところ、むしろ今では半々くらいの割合でPUREDRIVEとシェアを分け合っていますから。

 

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他社も指をくわえてみているだけではなく、当然それを追いかけ始めるわけですが、先んじた強みを埋めることはなかなか難しく、BABOLATは他の追随を全く許さない快走を続けることとなりました。

 

今もって黄金スペックといえばこの2本という世界一の評価を受けているこの両モンスターの牙城は今後もしばらく落城しそうにありませんね。

 

 

(パワー系)

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以前は見合ったモデルも(Yシリーズなど)販売していましたが元々がパワー系ラケットにはそれほど力を入れておらず、黄金スペックにほとんど必要な特性を盛り込むことで、いろいろなユーザーを取り込んでいる様子です。

 

 

<市場でのライバル>

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シリーズごとに統合したり細かい設定はあるものの、基本的にPURESTRIKE、PUREDRIVE、AEROという3路線しかないとてもシンプルなラインナップとなりました。

PURESTRIKEのライバルをPROSTAFFやBLADEをターゲットとするとしたらラケットの品質・性能はともあれ販売では少し可哀相ですね。

 

まずATPおよびWTAで使用している選手がVSも含めて少ないです。

VSではなくPURESTRIKEのほうはラケットそのものの性能は全く持って遜色はないという評価のようですが、やはりコマーシャル性に欠けているのか、WILSONを相手取ることは難しいようですね。

 

でも一定数の販売はされていると思いますし、結構コートでも見かけます。

YONEXのVCOREやHEADのRADICALあたりと競合しているのではないでしょうか。

 

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黄金スペックにおいては説明いらずですね。

何をしてもしなくてもとにかく世界中で売れる、日本でも売れる、、と敵なし状態です。

 

 

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PUREDRIVEはATPではロディック選手引退後、世界のTOP10に食い込んでくる選手がなかなか定着してきていませんし(現在はフォニーニが最上位でしょうか)、他社メーカーも少なくとも引けを取らないレベルまでラケット性能を引き上げてきたというのに、販売実績はことごとく他社ラケットを退けています。

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これはとにかくブランドイメージが強固なことに加え、TOP10とは言わずとも、TOP100にはいまだかなりの使用選手が存在していることも影響していることと思います。

 

そしてWTAにおいてはATP以上に使用率が高いわけで、使用しているユーザーも老若男女を問いません。

今後今以上にユーザーを伸ばし続けるとは断言できませんが、しばらくはこの販売状況を維持できると考えられます。

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AEROは今やPUREDRIVEと同等かそれ以上の販売実績を誇っています。

ラケット性能としてスピンに特化しているとはいえ、やはりそこは黄金スペックです。反発力もそこそこあるわけで、もはや打感を除いては欠点のないラケットという評価がそれを物語っているのか特に男性プレーヤーには絶大なる支持を得ています。

 

国内においては本当に男性プレーヤーばかりが使用している印象ですが、それであれだけ売れるんですから、男性女性両方を万遍なくターゲットにしている他社メーカーはたまったものではないでしょうね。

 

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ナダルを初期の段階からAEROの最強宣伝マンとして今日に至るまでプッシュしまくっていて、望んだとおりの結果を得ているわけですから、商戦略が嵌まりに嵌まったとしか言えません。

 

加えて彼のその後の爆発的な大活躍がベスト&ロングセラーに拍車をかけたというわけです。

 

 

<個人的印象>

市場というものの基本として一つ言えることですが、何かの商品をあるブランドがヒットさせたら、必ず他社はそのあとをジェネリック的に追従していき、

「こちらのほうがいいですよー」

と販促活動を仕掛けるものです。

実際にそれが功を奏するケースも大いにアルアルなのですが、その際には必ずと言っていいほど

 

「本家も比例して売れます」

 

後発の製品でこれだけいいのだったら、じゃあ本家はいったいどれくらい素晴らしい商品なのだろうと必ずユーザーは興味を示します。

 

それが車やコンピューターなどと違い、数値に表われないラケットであればなおさらです。

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BABOLATは飛びぬけて商売上手という感じはないのですが、とにかくPUREDRIVEとAEROに関してはその性能もさることながら、ユーザーのほうから勝手に長い時間をかけて最強イメージを固めていったというほうが適切かもしれませんね。

 

しかし、、

これまでWILSON、HEAD、YONEXと3メーカーに対し、どれも大体ハズレのないラケットを作っていると評価しましたが、BABOLATに関しては

「ん??」

と思うようなラケットも時々見かけてしまうことから、

「ピュアドラとアエロはいいけど、、あれれ??」という印象をもっている人もいますね。

ヤらかしたのかな?と(笑)

 

 

<黄金スペックメーカーの王者として>

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わたしは正直、今となっては他社製の黄金スペックラケットとそこまで性能に差があるとは思えないです。特にYONEXのEZONEを筆頭にHEAD、SRIXONなどはよくBABOLATを研究したのか、ラケットに求められる個々の要素においては「本家」を上回っている部分さえあると思っています。

 

BABOLATもそれをわかっているはずで、いまはまだまだ安泰ではありますが、今後は王者としてどのように他社の追走をかわしてくるのか注目しています。

 

<BABOLATまとめ>

 

ストロングポイント

  • PUREDRIVEとAEROの2枚看板は近代ラケット界最強のキラーアイテム
  • ずば抜けた販売実績と今後の見通しも明るい
  • 歴史あるメーカーにもかかわらず企業イメージがとても若い
  • ラケットデザインも素晴らしく、他と一線を画す
  • 売れるものだけに力を入れる方向にシフトしている(余計なものに手を出さない)

 

マイナスポイント

  • たまにハズレも発売する(笑)
  • 今だ打感が硬くてイヤだという人も多い
  • ミーハーと捉える人もいる

 

 

総合的な

 

個人的おすすめ度:★★★★☆

 

 なんにしてもPRINCE GRAPHITEと並んで、ラケット界に革命を起こしたBABOLAT。

それも単発で終わることなくこれだけ長い年月、巻き起こしたムーブメントを継続しているオンリーワンなラケットメーカーです。

キープコンセプト路線でいくのか、またもスマッシュヒットを生み出すのか、まだまだ目が離せません。

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